令和元年7月21日 山梨県青少年センターで、第5回精神科看護勉励会 

医療・施設における倫理的問題を考える〜臨床の課題・解決に向けた方法を学ぶ〜が開催されました。

 

神奈川工科大学 看護学部講師 精神看護専門看護師 田代 誠先生に講師をしていただき、自己の倫理的感受性を高かめることができるを研修目標に、医療における倫理問題、医療の4倫理原則、時代の流れによって変わる倫理・価値観から、現場で直面する倫理問題について講義をしていただきました。

 

講義の合間で、ワークをしながら意見交換をしていきましたが、皆さんにお聞きします。

以下の状況について、あなただったら飲ませますか。飲ませないべきですか。少し考えてみてください。

 

Q:あなたの施設に死期が迫っているアルコール依存症の 75 歳の男性が入所した。「死ぬ前に酒を飲んで死にたい」と言っている。 過去に飲酒した入所者はいない。この方に飲酒させて良いか施設長が悩んでいる。

飲ませても良い or 飲ませないべき

 

上記の問いには、なんと答えるでしょうか。

 

私自身、ケースは違いますが、過去に肺癌で末期の方を受け持ったことがあります。

その方は、85歳で16歳から喫煙をしていましたが、入院して禁煙をしなければならない状況となり、毎日のように「タバコを吸わせてくれ。俺は長くない。せめて吸わせてくれ。ここに居なかったら自由に吸ってるんだ。頼む」と切実に話されてました。

妻からも「病気だから吸わせないでください。病院だから我慢しないとダメですよね」と言われており、スタッフ間では、肺癌患者に喫煙するのはどうか、もう末期だから吸わせてあげたいけど院内禁煙だから無理だねと、声が上がっておりましたが喫煙をすることなく、その方は数週間後に亡くなりました。

 

亡くなった時に、何故喫煙をさせてあげられなかったのか、治療の現場だからこそ禁煙は良かったのであろうか、自分の祖父であれば外出や散歩時間を作ってでも喫煙をしてもらっていたなど、現場のルールなどを優先して、その方の人生には目を向けていないことがあったと、今でも悔いが残る思いがあります。

 

後日、患者さんの妻から「大変お世話になりました。今になってあの人が好きだった煙草を、吸わせてあげられれば良かったと思うんです。毎日お線香と一緒に煙草をあげているのですが、可哀想なことをした」と話を受けて、自分は何を優先したいたのか、倫理や人権と言いますが、医療者を優先した病院・病棟ルールを優先してしまったと後悔する部分もあります。

 

 

今回の研修を通して、現場で多くの「あれ?」と違和感を感じことがあったら、その違和感をそのままにせずに、まずはカンファレンスをしてくこと。医療の4倫理原則にはめてカンファレンスをしていくことでは、倫理教育を発展することができる。

カンファレンスという形に拘らずに、話ができることがとても大事なことだと痛感しました。

 

現場における倫理問題について、勉励会では語り合うことを取り入れて学びの場を作っていますが、語り合いの重要さを再認識できた講義となりました。

 

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7月21日 座談会結果
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